下肢静脈瘤とは?
下肢静脈瘤は血管に起こる良性の病気です。
急に悪化したり命が危険にさらされるような病気ではありませんので、その点では安心して下さい。
とは言え、全体の症状として
- 足のだるさ
- むくみ
- かゆみ
- 足がつる
などが慢性的におこると、日々の生活がつらかったりやる気がなくなってしまったりと、生活の質の低下を招いてしまいます。
まれにですが、湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍(かいよう)ができて重症になってしまうこともあります。
そうならないように、早めに受診したり、早めに対策をして、むくみの解消をしておきましょう。
下肢静脈瘤とは?仕組みと原因。
下肢静脈瘤は静脈の弁が壊れることによってなります。
では何故、弁が壊れるのでしょう?
人間は立って歩く動物なので、重力に逆らって、血液を足から心臓に戻さなければなりません。
何らかの原因でうまく血液を上に戻せない状態が続くと、だんだんと足の静脈に血液がたまり、静脈の中の弁が壊れてしまいます。
静脈の弁が壊れると、重力に負けて血液が逆流し、血管が太くなるので足の表面からも見えるようになり、やがてはボコボコと瘤(こぶ)のようになります。
これが静脈瘤です。
何らかの原因というのは、人によって違いますね。
下肢静脈瘤になりやすい人。
下肢静脈瘤になりやすい人には以下のような特徴があります。
- 40歳以上の女性。
- 両親が下肢静脈瘤の人。
- 妊娠中の人。
- 立ち仕事をしているひと。
下肢静脈瘤には遺伝性が認められていますので、両親が下肢静脈瘤の人は注意してください。
妊娠中はエストロゲンという女性ホルモンの影響で、血液が増加。血管も太くなり、おまけに子宮が静脈を圧迫するので、足に血液がたまりやすい状態です。
立ち仕事の中でも、1ヶ所に立ってあまり動かず、立ちっぱなしの人は発症しやすい傾向があります。
いずれにしても、足に下がった血液をうまく心臓に戻せないことが、静脈瘤の原因になります。
ですので、予防に大切な事は、足を動かして第二の心臓であるふくらはぎのポンプ機能をしっかり働かせることや、ふくらはぎの静脈を細くして、逆流を防ぐことになります。
手術などの治療法は?
下肢静脈瘤は良性の病気ですので、基本的には手術は行われません。
特に妊婦さんの場合は、出産後に治ってしまう事も多く、ほとんどの妊婦さんは経過観察になり、塩分の少ない食事を摂るようにすることなどの指導を受けることに留まるでしょう。
妊婦さんではない場合も、下肢静脈瘤は自然に治る病気ではありませんが、非常に進行の遅い病気なので、手術や薬を使わない保存的治療が行われる事がほとんどです。
保存的治療の種類
- 生活習慣の改善。
下肢静脈瘤は、足に血液がたまることによって発症します。
長時間じっと立っているのは避け、できるだけ歩いたり、休憩の時には足を高く上げるようにしましょう。
ふくらはぎのマッサージをしたり、寝る時には足を高くする事も効果的です。
- 予防の為の運動。
それから血行を良くする運動をしましょう。
座っている状態でも、つま先を上げ下げして、ふくらはぎの筋肉を収縮させましょう。
つま先立ち運動や、横になって足を上げ、ブラブラさせる運動もおすすめです。
- 着圧ソックス・弾性ストッキングを履く。
弾性ストッキングを履くことは、ふくらはぎのポンプ機能を助けることになります。
足を締め付ける事で血管が細くなると、血液の流れが早くなり、静脈還流を促進します。
足を締め付けると血行が悪くなるのでは?
と心配される方もいるかもしれませんが、
足首から上に向かって段階的に圧力が弱くなっている物であれば大丈夫です。
心臓に向かって血液が流れるように設計されているんですね。
このような着圧ソックスであれば、設計上に医療用と市販品の違いはありません。
医療用とは基準値以上の締め付けの強さの物のことで、近年はネットでも購入できるようになりました。
弾性ストッキングを履くことは、最も簡単な下肢静脈瘤の治療法と言えます。
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保険は適用される?
下肢静脈瘤の治療のための弾性ストッキングの購入には、残念ながら保険は適用されません。
リンパ浮腫や、手術、入院患者さんの肺血栓塞栓症の予防の場合には、病院で処方され、保険適用されます。
このように、保険も適用されず、重症化することはまれな下肢静脈瘤ですが、ダルい、足がつりやすい、痒いといった症状によって、生活に様々な悪影響をらもたらしてしまいます。
しょうがないと諦めずに、生活の改善や着圧ソックスを活用して、むくみを軽減させましょう。